2007年 02月 28日
une ruine utopique ?
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写真はラスパイユ・タワーからの眺め。Crédacの発行する機関誌からとった。
駅前のタワーから続く集合住宅群。かつての時代の空間思考を彷彿とさせる鋭角的なテラス。一部が廃墟化しつつある屋上。
設計は、Jean Renaudie(1925〜81)というフランスの建築家で、2002年にはポンピドゥ・センターで展覧会も行われたらしい。
1970〜75年にイヴリー市中心市街の再開発でこの集合住宅兼商業センターが建てられたときは、ポンピドゥに先立ってフランスの現代建築の革新を画するものだったという。
だが、当時の鉄筋コンクリートの耐性の限界か、今やあちこち朽ちて鉄筋がむき出し。加えて、商業スペースも各戸の居住スペースも狭すぎて今の時代に合わない。
このフランス現代建築の遺産をどうリノベーションするかをめぐって、もっか火急の検討状態にある。これはイヴリー市中心地区全体の再編計画ともリンクしている。
まわりの建築群とのつながりも面白い。Credacの入っている建物の道路向いの建築も、やはり斜線を強調した集合住宅兼商業施設で、往年の前衛っぽい匂いがする(写真下)。
ともあれ、幾何学的ユートピアの廃墟に現代美術はよく似合う。
Crédacも企画展では作家に場所との関わりを重視するよう要請するそうだ。鋭角的に尖った鉄筋コンクリートの先端には、70年代のユートピアの夢が潰えたまま宿っている。
by peuleu
| 2007-02-28 10:53
| 現世観察